天狗原から南岳、北穂
(キレット通過)


2日目:南岳小屋(6:35)⇒キレット A沢のコル(7:50 8:00):⇒北穂小屋(9:40 9:55)⇒北穂山頂⇒南稜分岐⇒涸沢(11:30)⇒横尾⇒上高地
天候:小雨&ガス

朝、目をさますと小屋はガスに包まれているも、風が弱く雨も小雨程度なので予定通りキレットを渉ることにし、
食事のあと昨晩会話を楽しんだお隣の住人さんに挨拶をし、小屋を6時35分に出発する。

はじめにザレ場を下り南岳南壁に垂直につけられた梯子を2つクリアしてキレット稜線に立つがガスが濃く急降下してきた感覚は薄い。
しばらくはキレット稜線を飛騨側をメインに歩く、長谷川ピークまでは危険なところはなくのんびりと歩けるが雨ですべりやすい小岩や
浮石に注意しながら進むと次第に道には大きな岩が目立ちはじめ岩の上を歩く感じになり小山状の稜線を超えて鞍部へと到着する。
目の前に長谷川ピークへの登りが立ちはだかっているのであるが、ガスに隠れてピークは見えない!

3点支持の基本を守り岩を登っていくと突然クサリのついた菱系の大岩が現れくるっと巻くように登ると頭上にはなんの障害物もない
ピークに到着である。前方にはガスのトンネルを突き抜けるように両側の切れ落ちた馬の背状の痩せ尾根が姿を見せている。

南岳南壁のはしごを下る 浮き石に注意し稜線を歩く 小山状の岩を超えて行く 鞍部の休憩ポイント
ピークより痩せ尾根を慎重に進みを飛騨側から涸沢側へと岩をまたぐように超えて、岩と会話するようにナイフリッジを渉ってゆく。
高度感があり結構緊張するが、太いクサリにしっかりにガードされているので、3点支持の基本を守り通過しA沢のコルへと1枚岩を下る。
A沢のコルで相棒ミーとマン氏を待ちながら長谷川ピークを見上げるとあらためて満足感が湧いてくる。
ここで少し休憩を取り、次の難所である飛騨泣きにそえる。

長谷川ピークへの登り ピークの岩場
ピークを慎重に越える 三点支持が基本 両側の切れ落ちた鎖場
ナイフリッジを渉る 最後の1枚岩
A沢コル手前の橋を渉る A沢のコルにてマイザック ガスに煙る長谷川ピーク全貌

A沢のコルからは、滝谷の岩峰を見ながら落石を落とさないように注意して急なガレを登り、トラバース気味に滝谷側の岩場を進むと
正面に垂直の壁が見えてくる。飛騨泣きの取り付き点である。


両側の切れ落ちたV字よりピンとクサリをうまく利用し、垂直の岩を乗り超えると足下の高度感がなんともいえない快感である。
滝谷側の岩場を斜めに登ると握るのも大変そうな太いクサリでガードされカラサワ側がストーンと切れ落ちたナタのような岩場にでる。
キレットで有名な尾根渉りの難所である。

通常交互通行になる場所で最盛期は相当の時間待ちがあるなと思いながら岩に打たれた足場とクサリでバランスを取りながら通過する。
足元の下はスパット切れ落ちており、今日はガスでその高度感と涸沢の展望を味わう事が出来ないが、それでも結構な高度感である。
飛騨泣き取り付きの壁 垂直を登る 上から見るとこんな感じ
飛騨泣き核心部 鎖場のトラバース 足場からの下を撮る

長谷川ピーク、飛騨泣きと二つの難所を無事通過し、最後の北穂への登りに入る、私的にはこの北穂への登りが大キレットで一番の難所である
浮き石注意のペンキ文字のあとは危険な箇所もないのであるが、ガレのダラダラな登りと急登の繰り返しで息が上がり何度も立ち止まっては
小屋はまだかと上を見上げガスの中に小屋のシルエットを見つけほっと一息で北穂の小屋に到着。

北穂の小屋で干飲料をぐい飲みし、しばしの休憩をとる。今日はじめてキレットを渉った相棒のミーとマン氏はテラスより真っ白で何も見えない
キレットを何度も眺めて満足そうである。一服後、今回で5度目の北穂の頂きをそのまま通過し、南稜への分岐に向かう。
前回7月中に訪れた時は、雪で埋まっていた山頂直下の道も雪はなく石の階段がきれいに続いており歩きやすく5分程で分岐に着き、
南稜の下りに入って行く。ゴロ石の多いテント場を過ぎ、ガレ場につけらたクサリ場を通過して、長い梯子のあるコルまで一気に下る。
南稜を登ってくる家族連れや団体さんに挨拶をし、梯子とそれに続く1枚岩のクサリ場を慎重に下ってザレ道とガレた沢を過ぎると登山道は
お花畑の中に続き、涸沢のテント村が次第に大きくなってくる。

天気も回復傾向できつい雨の心配はなく、涸沢小屋名物のソフトクリームを目に浮かべながら快調に南稜を下る。
途中で毛むくじゃらの赤い顔をしたお兄さんと出合うが会話が通じず会釈のみし涸沢小屋へ。
小屋で待望のソフトクリームを食べ、そばで腹ごしらえをしたあと、テラスにてガスに浮かぶ穂高の峰々を眺めながら山の休日を楽しむ。
涸沢からは、いつものように本谷橋を経由して横尾に戻り、上高地までの長い淋道歩きで今回の山旅を終える。